衣替えという言葉は、もともと着物から始まっています。
パッと見は同じ形に仕立てられた着物や帯ですが、寒い季節には暖かく、暑い時期には涼やかに装えるように作られています。
着物のおしゃれは季節感が大切といわれます。
移りゆく季節に合わせて、いつ、どんな着物を着るのがふさわしいのか、どんな帯や長襦袢を合わせたらよいのか、種類は?着物の決まり事ってなに?について詳しくご紹介しますので、是非最後までご覧ください。
こちらの記事で以下の事が分かります
- 季節にあった着物・帯・長じゅばんの合わせ方
- 季節ごとの着物の種類
- 季節に着分けと決まり事
- 季節にあった装いの工夫で快適に
- 透ける着物用の「えもんぬき」について
季節に合った合わせ方
日本に四季があるように、着物も季節に合わせて種類が変わります。
袷、単衣、薄物の時期には、それぞれに合った帯と長襦袢を用意します。
まずは、着物から、順に合わせる帯と長襦袢をご紹介します。
季節ごとの着物の種類
着物には、袷(あわせ)と単衣(ひとえ)と薄物(うすもの)があります。
単衣(ひとえ)は6月と9月
薄物(うすもの)は7月と8月に着用します。
帯や長襦袢。帯揚げ、帯締めも準じて季節の着物に合わせていきます。
夏物を薄物(うすもの)って言うんだね。
日本の言葉は風情があるわね。
着物の季節による着分けと決まりごと
季節に合わせて、着物の素材や仕立て方、合わせる長襦袢や小物の決まりごとがあります。
寒い季節には裏地を付けた厚手の生地、夏は透け感のある薄物といったように生地の素材や仕立て方も季節によって変わります。
色や柄も季節によって変えます。
春は、心華やぐような明るいパステルカラーを。
柄は、桜や牡丹、菖蒲など。
桜の時期が過ぎるころには藤色や緑色系を取り入れると良いですね。
夏は、寒色やモノトーンなどの色味が涼しげな印象になります。
柄は、紫陽花や朝顔、竹、柳など。
季節の先取りでトンボや楓が描かれている着物もおしゃれです。
秋は、紅葉を思わせるような赤色や茶色、銀杏の木のからし色など、秋を感じられる演出をします。
柄は、紅葉、萩、撫子など。
冬は、自然の色が少なくなる時期なので、あえて華やかな色合いのものが冬の季節に映えます。
柄は、椿、梅、南天、福寿草など。
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着物
季節に合わせた、種類と仕立て方
- 袷(10月~5月) 裏地付きの着物
- 単衣(6月・9月) 裏地のない着物
- 薄物(7月~8月) 透ける素材を単衣に仕立てた着物
1.袷の(あわせ)着物
袷の着物には、胴裏(どううら)と八掛(はっかけ)という裏地が付いています。
着る時期は10月から翌年5月の気温が22℃くらいの時期に裏地の付いた帯を合わせます。
・基本的に袷仕立ての長襦袢を着用しますが気温が上がってくるにつれ、胴単(どうひとえ)、袖も単衣の襦袢に変えます。
・衿は塩瀬(しおぜ)を合わせます。
2.単衣(ひとえ)の着物
単衣(ひとえ)は表の生地は袷と同じもので、裏地(胴裏と八掛)が付いてない着物です。
着る時期は、6月と9月です。
単衣は、春から夏へにかけてと、秋から冬へと季節が移る時期に着用します。
単衣は一年に二回着るんだね。
そうなの。
・春から夏に向かう季節は、涼しげに見える清々しいブルーや若葉を表すグリーン。
紫陽花の薄いピンク色などきれいな色がオススメです。
・9月の単衣は、色づく葉や実りの色を参考に少しづつ秋の気配を感じる装いを意識すると良いですね。
たとえば、イチョウの黄色や濃いめのオレンジ色、茶赤など。
・長襦袢も単衣仕立て(胴裏が付いてなく、袖も単衣のもの)を合わせます。
・帯揚げ、帯締めは袷と同じものを使用します。
・半衿は塩瀬(しおぜ)、楊柳(ようりゅう)、ビーズなどを合わせます。
単衣は基本は6月と9月ですが、近年の温暖化の気候では、5月から暑くなり、10月に入ってもかなりの暑さです。
婚礼やお茶会などの正式な場所や格式を重んじる場所を除けば、気候に合わせて多少のズレがあっても良いと思います。
最近では5月と10月は単衣を着ることが多いです。
大切なことは、着物をストレスなく楽しむことです。
次は、薄物(うすもの)についてお伝えします。
3.薄物(うすもの)
薄物とは、夏の暑い時期に着る、絽(ろ)、紗(しゃ)と呼ばれる透け感が出るように織られた絹物や、麻などで仕立てた着物です。
透け感のある素材から長襦袢が透けて見え、見た目にも涼やかです。特に、黒地の薄物は白い夏の長襦袢が透けて涼感が際立ちます。
長襦袢にも、絽(ろ)、紗(しゃ)、麻(あさ)などがあります。
婚礼などのフォーマルシーンでは着物と同じ絽(ろ)の長襦袢を合わせます。
着物の振りから絽の長襦袢がのぞいた時に優美な着姿になるうえ、きちんと礼を尽くしている印象になります。
お洒落着や街着には、涼しくて、吸汗性にすぐれて、気軽に洗濯ができる麻(あさ)がおすすめです。
帯揚げ、帯締め、半衿は、絽(ろ)、紗(しゃ)のものを合わせます。
半衿は、絽(ろ)、紗(しゃ)、麻(あさ)、ビーズを合わせます。
暑さの季節に首元がひんやりする半衿の工夫
ビーズの半衿
単衣と、薄物のお洒落着には、ビーズの半衿が良いですよ。
汗ばむ時期にガラスのひんやり感が首元を涼やかにしてくれます。
見た目にも涼し気です。
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帯
季節によって着物の種類が変わるように帯も季節ごとに変わります。
- 袷の着物に合わせる帯(10月~5月)裏地の付いた帯
- 単衣の着物に合わせる帯(6月・9月)裏地なしのかがり帯等
- 薄物の着物に合わせる帯(7月・8月)透け感のある帯
1.袷の着物に合わせる帯
裏地が付いた透けない帯を合わせます。
袋帯、九寸名古屋帯、紋織の博多帯など。
春は、梅や桜など華やかな雰囲気のあるもの。
秋は、黄色に染まったイチョウの葉、紅葉、すすきなどの秋ならではの柄を。
冬は、花なら椿や水仙、お正月には松竹梅や福寿草などの吉祥柄もおすすめです。
単衣の着物に合わせる帯
・芯の入っていない、八寸名古屋帯が最適です。
・秋の単衣着物には、温かみのあるざっくりした素材で芯の入ってない八寸名古屋帯を合わせます。
・秋の単衣着物には、温かみのあるざっくりした素材で芯の入ってない八寸名古屋帯を合わせます。
3.薄物の着物に合わせる帯
礼装用の紗袋帯(しゃぶくろおび)
薄物の紗袋帯(紗の帯揚げ・薄物用帯締め)
暑い時期に締める夏帯は軽くて透け感のある素材を合わせます。
・絽(ろ)や紗(しゃ)、麻(あさ)、紗献上(しゃけんじょう)博多織りなど。
・フォーマル用の袋帯と普段着用の名古屋帯があります。
・色目は、淡い色でさわやかなもの、涼やかなもの。
・柄は、金魚やうちわ、朝顔や秋の花など。
薄物の普段着用の九寸名古屋帯(波紋柄)
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長襦袢
長襦袢も季節により仕立て方と合わせ方があります。
- 袷の着物に合わせる長襦袢(10月~5月)裏地付き
- 単衣の着物に合わせる長襦袢(6月・9月)裏地のないもの
- 薄物に合わせる長襦袢(7月・8月)透け感のある素材
1.袷の着物に合わせる長襦袢
裏地がついた長じゅばん。
・胴裏という裏地が付いて、袖が無双(むそう)という二重になったものを合わせます。
・半衿は、塩瀬を合わせます。
2.単衣(ひとえ)の着物に合わせる長襦袢
単衣用絹の二部式襦袢
この二部式襦袢はあると、とっても便利です。
・裏地のないものを合わせます。
・袷の着物に合わせる襦袢と同じ生地で、単衣仕立て(ひとえじたて)にしたものや、絽(ろ)や紗(しゃ)、麻(あさ)などの素材で仕立てたものを用います。
・半衿は、絽、麻。ビーズを合わせます。
・裏地がない分、補強のために居敷(いしき)当てを付けて仕立てます。
単衣仕立てっ何?
裏地が付いてないってことよ。
つまり、胴も袖も全て単衣ってこと。
3.薄物に合わせる長襦袢
汗ばむ季節には、麻の長じゅばんがさらっとして着ごこちのよいものです。(礼装では、絹の白の長じゅばんを着用します。)
暑い季節の、さらっと涼しく装う工夫
薄物の時期の麻の襦袢(居敷あて・前ヒモ・薄物用の衣紋抜き付き)
・薄く透ける、絽(ろ)や紗(しゃ)、麻(あさ)素材のものを合わせます。
・半衿は絽(ろ)、ビーズを合わせます。
単衣用と同じく裏地がない分、補強と透けないために居敷(いしき)当てを付けて仕立てます。
居敷当てを付けました。
薄物の着物の背中から透けて見えないように小さい衣紋
抜きを付けました。
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着物の種類と季節の合わせ方|まとめ
以上、着物の決まりごと|季節によって着分ける種類と合わせ方についてご紹介しました。
着物も季節によって種類があり、仕立ても、合わせる帯も長襦袢も違います。
まとめます。
・袷の時期は着物も帯も長襦袢も暖かい生地と仕立てを。
・単衣の時期には、夏に向かう季節は涼やかに、秋に向かう季節には秋らしさを表現する。
・薄物の時期は、仕立ても色柄も透け感のある素材で涼しく装う工夫を。
季節に合った装いを知る事で快適に、着物のオシャレを楽しめます!
こちらに長じゅばんと着物の着付けについて書きましたので是非併せてご覧ください。
着崩れない長じゅばんの着付け方法はこちらからご覧ください。
着崩れない着物の着付け方法はこちらからご覧ください。
こんな感じでお伝えしました。
いつも最後までご覧くださり、ありがとうございます。
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